バイトへ向かう和哉。
アパート近くの四つ角で、靴を整える美涼。
車が向かってくる。
美涼の右手から車が向かってくる。
和哉「危ない!」
美涼の右手を引く和哉。
反動で地面に座り込む和哉と美涼。
和哉「この辺車結構スピード出すから」
言いながら固まる和哉。美涼の死を見る。
美涼「ありがとう。引っ越してきたばかりで」
立ち上がる美涼。
続いてはっとしたように立ちあがる和哉。
和哉「あの」
首を傾ける美涼。
和哉「行かないでください」
美涼「え?」
和哉「どこか行くんですよね。行ったら……あんたは死にます。俺にはそうゆうの見えるから」
眉を顰める美涼。
思わず顔を逸らして唇を噛む和哉。
逡巡する美涼。
美涼「分かった。行かない」
ぽかんと口を開ける和哉。
美涼「信じたわけじゃないけど、その顔に嘘はないと思うから」
言葉が出てこない和哉。
美涼「じゃあね」
踵を返す美涼。
見送る和哉。
アパートに戻る途中の美涼、友人に電話をかける。
美涼「ごめんねー」
友人の声「別にいいけど、今度埋め合わせしてよ」
美涼「するする。奢る」
夜、美涼の部屋。
クッションに座る美涼、本を捲る。
目の前のテーブルに置いたスマートフォンに友人から着信が入る。
美涼、出る。
美涼「はい」
友人の声「美涼ニュース見た!もーびっくりしたよ!」
美涼「何のニュース?」
友人の声「通りで事故があったの!お店の近くじゃん!美涼がドタキャンしてくれてよかったよ。これが不幸中の幸いってやつ」
通話が終わり、美涼はスマートフォンをテーブルに置く。
美涼(助かっ、た? でも)
風呂上がりの和哉。
和哉(あの人どうなっただろ? でも)
和哉・美涼(もう二度と会わないか)
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