遠い過去の夢を見た。
多分あまりいいものじゃない。
痛みも悲しみもない。
ただの記憶の一片に過ぎない。
けれど、
アァ……
ウ……ア
……アッ
声が、止まない。
醜い自分自身の声が。
Kurt「うーん……」
Kurt「うざいうざすぎるよ。ほんっとに」
Kurt「何でまだ聞こえてくるの? 意味分かんない」
ぐにっ。
あ、れ?
Kurt(音が、止んだ)
Tom「どうした? 珍しく皺なんか作って。怖い夢でも見たか?」
Kurt「んーん」
Tom「そうか? ならいいけど」
Tom「今日のご飯はグラタンだぞー」
Tom「海老たっぷり」
Tom「つーか、また下履いてないし!!」
声が、かき消されていく。
Tom「下履け!!」
醜いあの声は、もう聞こえないんだ。
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